【全身疾患と歯周病の関係】知らないと損する“お口と体の深いつながり”
■「歯周病は歯が抜ける病気」というイメージをお持ちの方が多いですが、実は 心臓病や糖尿病、認知症、早産リスク など、全身の健康とも深く関わっていることが分かってきています。
本記事では、歯周病と全身疾患の関係を、できるだけ分かりやすく、最新の知見も交えてご紹介します。
“お口の健康=体の健康”といわれる理由を知っていただくことで、毎日のケアや定期検診の大切さを実感していただければ幸いです。
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■目次
1. 歯周病とは?まず知っておきたい基礎知識
2. なぜ歯周病が全身疾患に影響するのか
3. 歯周病と関係が深い代表的な全身疾患
・心疾患
・糖尿病
・誤嚥性肺炎
・妊娠・早産
・認知症
4. 今日からできる予防法
5. よくある質問(Q&A)
6. まとめ
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① 歯周病とは?まず知っておきたい基礎知識
●歯周病は「歯の周りに起きる炎症」
歯周病は、歯を支える骨や歯ぐきが細菌によって炎症を起こし、最終的には歯が抜けてしまう病気です。
“静かに進む病気”といわれ、初期症状がほとんどありません。
よく見られる症状
• 歯ぐきから血が出る
• 歯ぐきが腫れる
• 噛むと痛い
• 歯がグラグラする
• 口臭が強くなる
町田市の健診でも、成人の約7割が歯周病にかかっているとも言われており、ごく身近な病気です。
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② なぜ歯周病が全身疾患に影響するのか?
歯周病が「口の中だけの病気ではない」と言われるのには、2つの大きな理由があります。
(1)歯周病菌が血管に入り込むから
歯ぐきに炎症があると、細かい血管が傷つき、
歯周病菌やその毒素が血流に乗って全身へ運ばれてしまいます。
これは、ちょうど“水道管にサビがたまって全体に広がっていく”ようなイメージです。
(2)炎症物質が全身に影響するから
歯周病があると、体の中では“炎症を起こす物質(サイトカイン)”が増えます。
この物質が血液に乗って全身に回るため、
もともとある病気を悪化させたり、新しい病気のきっかけになると考えられています。
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③ 歯周病と関係が深い代表的な全身疾患
H2:① 心疾患(心筋梗塞・動脈硬化)
●歯周病菌が血管を傷つける
血管の中で炎症が起き、動脈硬化の進行が早まるといわれています。
研究では、重度歯周病の方は心疾患のリスクが約2〜3倍に高まるというデータもあります。
〈日常の具体例〉
・階段を登ると息が上がりやすくなった
・健康診断で「血圧が高め」と言われた
こうした症状がある方は、口の中の炎症も疑う必要があります。
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H2:② 糖尿病
糖尿病と歯周病は “お互いに悪くし合う” ことが明らかになっています。
●歯周病があると血糖値が上がりやすくなる理由
炎症によってインスリンの効きが悪くなるためです。
●実際に歯周病治療でHbA1cが改善するケースも多数
特に、
• 歯石取り
• 歯ぐきの炎症改善
を行うことで、血糖コントロールが良くなる患者さんも多くいらっしゃいます。
糖尿病の医院と歯科医院を併用して通う患者さんが増えているのも、こうした理由からです。
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H2:③ 誤嚥性肺炎
高齢者に多く、命に関わることもある病気です。
●口の中の細菌が肺に入ってしまう
食べ物や飲み物と一緒に歯周病菌が肺へ誤って入ることで発症します。
●特に注意したい方
• 65歳以上
• 寝たきりの方
• 介護が必要な方
• 口の乾燥が強い方
口腔ケアが誤嚥性肺炎を防ぐ有効な方法として、医療現場で広く使われています。
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H2:④ 妊娠・早産リスク
妊娠中はホルモンバランスの影響で歯周病になりやすくなります。
さらに歯周病があると、
早産や低体重児出産のリスクが高まる ことが報告されています。
●実際にこんなケースがあります
• つわりで歯磨きがつらくなり、歯ぐきが腫れた
• 出血が増えたが“妊娠の影響”と思い込み放置
• 中期〜後期にかけて腫れと痛みが悪化
妊娠中は治療方法に注意が必要ですが、クリーニングや歯ぐきのケアは可能です。
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H2:⑤ 認知症(アルツハイマー型)
近年、歯周病菌が脳に影響する可能性が示されました。
●歯周病菌の毒素が脳に届く
動物実験で、歯周病菌の毒素(LPS)が脳内の炎症を引き起こし、
認知症に関連する“アミロイドβ”の増加を促す可能性があるとされています。
●噛む力の低下も認知機能に関係
噛む刺激が減ることで、脳の活性が下がりやすくなるといわれています。
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④ 今日からできる予防法
H2:1. 毎日のセルフケア
●ポイント1:歯ブラシは「優しく・細かく」
力任せではなく、鉛筆持ちでやさしく磨くことが推奨されます。
●ポイント2:歯間ブラシやフロスを使う
歯ブラシだけでは6割ほどしか汚れを落とせません。
●ポイント3:舌のケアも大事
舌の汚れにも細菌が多く含まれます。
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H2:2. 歯科医院での専門的ケア
●定期検診(3〜6か月)
目に見えない歯周病の進行を早期に把握できます。
●歯石取り・クリーニング
見えない場所にある歯石を取り除くことで、細菌のすみ家を減らします。
●歯周ポケット検査
歯ぐきの状態を数値化し、リスクを知ることができます。
●町田市の歯科健診の活用
地域の健診制度を利用すると早期発見につながります。
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⑤ よくある質問(Q&A)
Q1. 歯周病は自然に治りますか?
A. 自然治癒は難しいです。炎症は広がるため、早めのケアが推奨されます。
Q2. 痛みがなくても治療は必要ですか?
A. はい。歯周病は痛みが出るころには進行していることが多い病気です。
Q3. 歯周病予防に良い食べ物はありますか?
A. よく噛む食品(繊維質の野菜、ナッツ類)は唾液が出やすくなり効果的です。
Q4. 歯周病と口臭は関係ありますか?
A. 強い関係があります。炎症があると細菌が増え、ニオイの原因になります。
Q5. タバコは歯周病と関係ありますか?
A. はい。喫煙は歯周病を悪化させる大きなリスク要因です。
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⑥ まとめ
• 歯周病は歯だけの問題ではなく、心臓病・糖尿病・肺炎・早産・認知症 など多くの全身疾患と関係しています。
• その理由は「歯周病菌が血管に入り込む」「炎症物質が全身に運ばれる」ため。
• 毎日の歯磨きと、歯科医院での定期的なメンテナンスが予防の要です。
• 症状がなくても、まずは検診を受けて現状を知ることが第一歩になります。
お口の健康は、体の健康づくりの“入口”です。
気になる症状があればお気軽にご相談ください。









